寛政二年、水戸徳川三十五万石のお膝元、水戸穀町(現在の本六町目)の粟野屋吉久保清三郎という男
手びろく米穀をあきなう豪商の主であるが、某日、酒宴の席にてハタと膝をたたいて言う。
「常陸の米と笠原の水、この二つありて常陸に旨き酒の無きは、
さても不可思議なことよな。」
良質な筑波米を光圀公ゆかりの水にて醸し・・・
吉久保清三郎の着眼に狂いはなかった。米穀商の主なれば、酒造りに好適な米の選別はたやすきこと。
又光圀公の偉業を伝える笠原水道の源水は、灘の水にまさる清らかさにて酒造りに秀逸。吉久保清三郎、アッサリ米屋の看板をおろし造り酒屋に転業。
千石酒屋と謳われ水戸の名士の豪気をささえ,やがて栗野屋の仕込み蔵から、「甕(みか)の月」「いっぴん」誕生。
"正気の歌"で名高き藤田東湖を筆頭に、水戸の名士諸士のひいきにあずかり毎年、新蔵を建てるほどの繁盛ぶり。
いま、春夏秋冬の宴にありわが郷土の酒いっぴん明治の初期、代表銘柄を「いっぴん」にしぼり精魂を
傾ける。さらに昭和二十七年、酒造りの規模、
販売規模をグイッと広げて株式会社へ。
穏やかな香りと満ちてくる旨味。まろやかさと熟成感。夏を越し、米の旨味を十二分に引き出しグッと旨みの乗った生詰純米原酒です。
◇使用米:玉栄
◇精米歩合: 60%
◇日本酒度: +3
◇酸度:2.0
◇Alc.:18度